東大数学の「解けない漸化式」を解く
2022年東大数学第2問を複素数を用いて解く。
漸化式 - 2022東大数学(2)
数列$\{a_n\}$を次のように定める。
$$a_1=1, \:\: a_{n+1}={a_n}^2+1 \:\: (n = 1, 2, 3, \cdots)$$
この問題は受験数学でよく登場する「解けない漸化式」の一例である。大学は受験生に漸化式の一般解を求めるのではなく漸化式の性質についての答えを要求する。本問題では、この数列がDivisibility Sequenceであること(つまり$k|n \implies a_k|a_n$)について問われている。
今回は複素数を用いてこの漸化式を解く。
$$a_n=\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{2^n}+\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{2^{-n}}$$
とおくと、
$$a_n^2=\left(\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{2^n}\right)^2+\left(\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{2^{-n}}\right)^2+2\cdot\left(\frac{i}{\sqrt{2}}\right)^2$$
となるので
$$a_n^2+1=\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{2^{n+1}}+\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{2^{-(n+1)}}=a_{n+1}$$
となり、漸化式を満たしていることがわかる。初期条件の、$a_1=1$を代入し、
$$\begin{aligned}
1&=\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^2+\left(\frac{ix}{\sqrt{2}}\right)^{-2}\\
0&=x^4+2x^2+4\\
\end{aligned}
$$
となり、$x=\sqrt{2}e^{\frac{i\pi}{3}}$。従って、$a_1=1$であるから、
$$a_n=(ie^{\frac{i\pi}{3}})^{2^{n}}+(ie^{\frac{i\pi}{3}})^{2^{-n}}=(e^{\frac{5\pi i}{6}})^{2^{n}}+(e^{\frac{5\pi i}{6}})^{2^{-n}}.$$